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2006年11月26日 (日)

小説  新昆類  (12) 【第1回日経小説大賞第1次予選落選】

 「スペインから始めよう・情熱のボレロ……」
 
 日本語は恐怖に蒼ざめ絶句する。虐殺の堕天使の耳に唸っていたのはあのボレロだった
とは!その反復旋律こそ古代道教の遺伝子をゆさぶる。そして九二年・平成四年と二九年
・昭和四年、この数学的類似性のシミュレーションこそ驚愕すべきである。他者を排除し、
己の血液の延長によって他者の空間を蹂躙してきた「単一民族」の共同幻想たる今日の日
本システムが過去の模倣子。他者を発見できね自己遺伝子こそは自己模倣子である。他者
を認知し自己遺伝子を他者に似せて改良するのだが、それは自己遺伝子の延長と増殖のた
めにあるがゆえに、あるうしろめたさがつきまとい、自己遺伝子の歴史は閉じられる。自
己生活史のみの市民主義こそ帝国。

 欲望・心理・ギャンブル・予測・推論・自己模倣子増殖を推進するのは、数字の前衛た
る資本主義リアリズム。模倣子はある極限を表出し、数字言語の場と空間を支配する。九
十年代の模倣子たる日本経済を支配しているのは、見えざる神の手ではない。ヨハネ黙示
録によって記録されてきた数の獣たる見えざる怪物の額によって支配されている。

 虐殺の堕天使イザベル女王のスペイン軍がグラナダを攻め落とし、ヨーロッパの地から
イスラム世界を追い出したのは一四九二年。同時に彼女の援助によりコロンブスはこの年、
新世界アメリカ大陸を発見する。その五百年後こそ一九九二年。

 ローマ帝国植民地の轍から脱出し、その後ローマ教皇のもとで王権の配合によって支配
ソフトを蓄積してきたヨーロッパ各国は、十字軍遠征の過程で再度、軍を再建しローマ法
をとりいれた制度の構築、ユダヤ人を呼び寄せ、財政国庫の構築、農業の革命(氷河時代
の石をとりのぞく土地整備)、あの四分の一人口は絶滅したペスト危機内と外との他者と
の戦争事態によって、世界の中心へと周辺から浮上する。その文化的象徴としてイタリア
・ルネサンスと再度イスラムを回路にして習得したギリシア哲学の学習として文芸復古は
あった。ダンテ「神曲」の力強さこそ、ペストへの勝利宣言。

 内延的発展こそが自己遺伝子、その本能としての遺伝子はよりペスト・ウィルスの試練
を受けて、大西洋にくりだす。中南米、南北アメリカ大陸、アフリカの文明を壊滅させ、
インド・中国・イスラム商人たちの貿易ルートを剥奪し、世界をつなぐ円環世界システム
を完結させる。今日、アフリカと南アメリカがいまなお経済的に低迷しているのは基層文
化が根底からヨーロッパによって破壊されたからだ。マザーボードなしのハードウェイは
ありえない。アジアはヨーロッパによる基層文化破壊を半分にくとめることができた。ゆ
えに経済は自立できるのであろう。

 近世からの世界システムを円環として完結させ地球を誕生させたヨーロッパDNAのす
ざましいパワーをシミュレーションしないかぎり、現代世界システムを支配するイギリス
・USA(アングロサクソンによる二重帝国)・金融ユダヤネットワークを理解すること
はできない。文明とは帝国と城内領域の市民に他ならず、ゆえに領域をめぐって文明は衝
突する。人間の顔をした自己遺伝子と模倣子こそ文明の衝突である。戦略的部品としての
日本語はあらかじめ文明意識が欠落し、強烈な危機意識もなく、おめでたく自己遺伝子と
模倣子が自壊している敗北の過程にある。不良債権としての国債にたよってリスクを未来
に先延ばししながら生活する「わが亡き後に洪水よ、来れ」の死を取り込んだ孤独な老人
となった。閉じられた文明の衰退。日本市民主義の終焉として死の教室がやってきた。

 死の踊り、死の教室はウィルスに感染した虐殺の堕天使たちによって、表土喪失上の第
三自然たるデジタル数字言語がシミュレーションする仮想現実によって表出する。一九九
二年三月五日朝、高知市で女子中学一年生が三歳年上の姉・私立高校一年生によって刺殺
された疑い。「妹が陽気で自分と余り性格が違い、ねたんでいた。包丁を準備していた」
と姉は自供する。メディア機関の報道に日本語は恐怖に震撼する。続いて三月五日夕刻、
市川市で十九歳の少年による一家4人殺害事件がおきる。またしてもマスメディアがたれ
流すテレビのブラウン管映像に日本語は打ちのめされる。おそらく姉は性格分析の心理学
の本でも読んだのであろう。心理学とは近代が誕生させた資本主義数字ゲーム・ギャンブ
ルにあった。

 忘れてならないのは、八十年代の十年間、日本住民の日本語はテレビ局がたれ流すサス
ペンス殺人事件のシミュレーション・ドラマを脳天に刷り込まれてきた。テレビとは印刷
機。殺人の方法と死体を毎日・毎間昼間・毎夜中、テレビのブラウン管・閉ざされた四角
のフレームから、見せられ聴かされ、日本語は死の教室で飼いならされてきた。耳から電
波が印刷機として脳天に刷り込み・書き込み・データー改竄洗脳しCMは東京株式市場一
部に上揚されている企業提供。

 リブングルームは死の教室・ネクロフェアの香り、無防備のまま周波数によって飼育さ
れてきた虐殺の堕天使たち。殺人が日常であり、幼少の頃からその心に殺意が蓄積され、
最終解決は刺殺、他はなしとする虐殺の堕天使は八十年代が産み落とした日本周波数の産
物であろう。かつて日本軍兵士は中国大陸を「殺し尽くし、奪い尽くし、焼く尽くす」三
光作戦を展開した。血債の復讐の女神は八十年代において虐殺の堕天使たちを日本市民社
会におくりこんだのである。

 彼・彼女たちが日本鬼子としてシミュレーションを現実の出来事に転化する最終解決で
ある死の舞踏を開始するやいなや、その衝撃によって資本主義リアリズムの不均衡数字心
理は株式市場に感染し、九二年三月十六日、日経平均は二万円を割り、ずるずると崩落し
ていく。性格を分析する近代心理学の破綻である。

 こうして心理学は九十年代事象を説明・分析できずに破綻を証明してきた。家族関係に
おける抑圧を古典的に説明するが、現代社会の病状を説明することはできない。日本株式
崩落と少年・少女殺人事件は連動しているウィルス周波数である。日本文明の壊滅と全的
滅亡が現出しているのだ。秩序なきモラルが展開される。

 テレビ電波のウィルス(周波数)によって基層文化が破壊された虐殺の堕天使たちの日
本語は、その不均衡衝動がきわめて簡単に殺人に自己完結する。その自己遺伝子の心のか
たちは、まろやかな円または球ではない。四角の牢獄、テレビ画像・フレームのように閉
ざされた四角としてのハイパーモダンである。つねにギスギスと角張って、画一化された
トレンドとして日本語から自己遺伝子を防衛すべく、己の感受性を疎外する「もの」を殺
すのである。

 日本の国旗は現在、日の丸としての紅い円であるが、それはうそである。白地に紅い四
角それが現在の日本精神を正確に表出する国旗であろう。四角のフレーム・四角の帝国に
われわれは閉ざされ、日本語のウィルスに犯されながら、死の舞踏を開始しろと、情熱の
音楽「ボレロ」によって耳から浸入する周波数によって強制されている。
 
 ひとつの文明が全面的展開として崩落する、それが近代の終焉としての現在であり今日
も嵐が丘から死者たちの呼び声が聞こえる。あれは復讐の女神。




【第1回日本経済新聞小説大賞(2006年度)第1次予選落選】


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