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2006年11月22日 (水)

小説  新昆類  (30) 【第1回日経小説大賞第1次予選落選】

 文字としての漢字、法律としての律令、学問としての儒教、宗教としての仏教、こうし
た体系的シミュレーションによって、日本イメージの基礎は形成され、部族連合を呪術に
おいてまとめる大王は、天皇として改名され、天皇神学の物語が土着化する戦略は、発動
する。騎馬民族はどこの地においても土着化できる適応能力が高度なのである。

 他者が長い時間空間から表層に体系化した制度を、徹底的に学習し、おのれの空間と場
所に自己実現させる。これが国家官僚である。七〇一年「大宝律令」の発布。七一〇年
「平城京」建造、七二〇年「日本書紀」編纂。これらの実現はハイ・テクノロジーたるデ
スクワークとしての事務能力つまり行政能力を私的所有する国家官僚機構が存在しなけれ
ば完成しない。国家とは文明同様に官僚機構のことなのである。

 高度情報・高度技術を内部に私的所有する日本への亡命者である百済・新羅・高句麗・
中国官僚と学者、それに亡命してきた戦争部族を組織することによって、藤原不比等は世
界の中心たる中華文明を日本に翻訳し移植した。おそらく「平城京」は中国語・朝鮮語日
本語が世界同時性として進行し、土方である民衆からみれば複合としての多言語的表層に
おいて都市が建設されていった。共通語は漢語であった。

 土俗としての自然生成的民衆は人工的なデザインと労働集約によって、突然、変貌した
空間と巨大な大仏像の出現にぶったまげ土肝をぬかれたに違いない。日本の都市とは古代
以来、官僚のデザインによって、ある日突然その人工建築が姿をあらわすのである。ゆえ
に長いものにはまかれなくてはならない、順応主義へと飼育されていく。北条鎌倉幕府が
後醍醐天皇によって転覆されたのは官僚機構が末期の病に犯され、新たなる統治能力を持
った官僚新世代の育成に失敗したからである。

 平城京建設という実践的・肉体的知覚の全面的発動、他者との具体的コミュニケーショ
ンという共同作業の時間を、同時体験する行為によって、高度情報・高度技術をもつ内部
ある他者は日本語を学習し、日本民衆を異化し対象化する。土着語でありながら、日本語
とは騎馬民族がもちこんだ言語である。ツーグイース系である。そして日本語は朝鮮南端
において騎馬民族が建設した、馬韓たるカヤ文明に依拠している。

 平城京建設の土木作業・建設作業とは、もっとも具体的労働であり、多言語であっても
肉体言語がそれをカバーする。わたしは八十年代後半から90年代前半、NECが外国人研
修生としてコンピュータ製造工場に受け入れた、フィリピン人、韓国人、中国人、タイ人、
バングラデッシュ人、パキスタン人、南アメリカの人といっしょに仕事をしたが、他者と
の実践的交流たる感情のコミュニケーションを実現するのは身体言語による共同身体労働
によることを発見した。

 たとえばレイプを別にして、男と女のセックスは、身体的知覚たるセンサーを全面展開
する自己遺伝子と模倣子の愛情訓練である。自己遺伝子と模倣子の学習器官、コミュニケ
ーションの共同肉体労働としてある。他民族でありまったく理解できぬ言語を話す他者と
の実践的交流と学習の場は、男と女のセックスであり結婚だ。民族の交差点であるシルク
ロード・中央アジアやインド洋に接するインド・パキスタン・イラン・イラク・トルコへ
のルート、こうしてインド=ヨーロッパ語の民族は他者と交流し学習し混交されていった。

 高度情報・高度技術をもつ他者はおのれの内部をそぎ落とし、日本語を話す女と結婚し
日本に土着化する決意を固める。帰るべき国家はすでに消滅したからである。平城京はみ
ごとに完成し次にとりかかるのは日本語を翻訳し、編集し、日本史記を誕生させることで
ある。各地方土俗王権はすでに国譲りとして武装解除していた。

 高度情報・高度編集技術をもつ他者は平城京から日本列島の旅に出発する。これが記紀
神話のヤマトタケルである。広大なユーラシア大陸の旅からすれば、日本列島の旅はそれ
ほど困難ではない。彼らは五年間を旅し、各地方・格農村共同体に伝承されている自然生
成的神話を語り部たちあるいはシャーマンや部族の長老から聞き取り調査取材をし、それ
を翻訳し漢字に記述した。

 自然生成の四季を内部にもつ民衆的神話・民衆的想像力・民衆的物語はこうして模倣子
に回収されたのである。高度情報・高度編集技術をもつ他者は、こうして五年間をかけて
日本列島の各地方・各農村共同体から民衆的物語を収集すると、平城京に帰り部屋に閉じ
こもった。重要なのはこの時期、ユーラシア大陸からエジプトの神話伝承まで収集する情
報部隊も存在したということである。

 当時、唐帝国はローマ帝国とも交流があった超大国としての世界の中心であり、シルク
ロードによって世界の文献は収集され、漢語に翻訳されていた。藤原不比等は、それらの
文献を盗用すべく唐帝国に情報収集部隊を送りこんでいたのである。

 律令制度の確立から平城京という首都の建造は、表層空間への人工的支配意志の表出で
ある。ゆえにそれは建築によって体現される。常識的な官僚機構であれば、外延的拡張を
めざす。しかし藤原不比等と高度情報・高度編集技術をもつ官僚機構がめざしたのは内延
である。天皇制八千年継続への打ち固めである。日本自己遺伝子と模倣子の建設という内
部・深層を人工的に形成する神話史記の捏造であった。これに十年間も部屋に閉じこもり
完成させたのである。驚嘆すべき閉ざされた秘密の部屋で、日本は帝王切開によって誕生
した。外部における戦争に勝利し、日本を制覇したどの戦争部族の将軍でさえ、この生き
神たる内部を亡き者にはできなかったのである。日本で勝利できる方法はただひとつ内部
建設をめぐるイデオロギー戦争である。盲目の哲学者これを発見したのである。70年代か
らインターナショナル国際組織に着手したカルト宗教である池田教の創価学会も内部建設
として、壮絶なイデオロギー戦争をしてきた。いまやこれらの団体は陰謀組織として制度
化され、官僚機構に伝染させたウィルスとなり権力党派として上昇したのである。クーデ
ターを起こした現代の藤原鎌足である。

 一九八七年国鉄の民営化はそのクーデターとしてあった。最後の労働運動の牙城であっ
た国鉄労働組合は解体され当時二十万人いた組合員は、二万人と後退させられ、陰謀者山
岸と盲目の哲学者よって「連合」が誕生する。当時、野党にいてこれを全面的にバックア
ップしたのがカルト教の党派である公明党である。この時期官僚機構は国家財政の総力を
あげて批判勢力である過激派壊滅作戦を展開させる。

 まさに八十年代とは市民社会のトレンドの裏側では、壮絶なイデオロギー戦争の戦国時
代であったのである。しかし八十年代を勝利したかにみえた官僚機構は、その勝利によっ
て内部を九十年代において瓦解させてしまったのである。なぜか? これまでの日本を制
覇した権力機構のように、天皇制に変わる国家理念とあらたなる内部・深層たる日本史記
を建設できなかったからである。それはつまりバブルという外へ外へのそう状態であった
からだ。だれひとりとして十年間部屋に閉じこもる他者になることができなかったからで
ある。この時期、クーデターを起こした官僚機構と陰謀集団のなかで八千年まで構想力の
魔手をのばす内延を建設できる能力ある人間は皆無であった。高度経済成長戦略を建設し
た官僚でさえ三年間、結核治療病棟のなかで構想を内部建設したのである。

 文明とは官僚機構が形成する。「失われた十年間としての九十年代日本文明」とは、八
十年代における官僚機構の内部建設の失敗である。八十年代とは大規模巨大工事として人
工的な日本列島改造への疾走であった。それを官僚機構は不沈空母建設と位置づけた。革
新官僚として敗戦を迎えた宮沢喜一と中曽根康弘はUSAの工作員として、将来の総理大
臣を約束され、自民党代議士になったとする異説がある。官僚機構は宮沢喜一と中曽根康
弘に、まんまとしてやられたのである。かれらが日本を防衛する意識などひとかけらもな
いことは自明となるであろう。そしていまUSAの工作員である自民党と小沢一郎は、ま
すます官僚機構を解体しようとしている。イギリス・USAのニ重帝国であるアングロサ
クソンはすでに一九八五年プラザ裏合意において日本官僚機構を全的滅亡にさせることを
決定した。そのとき、同時にソビエト連邦と東ヨーロッパの解体も決定されていたのであ
った。イギリス情報部主導のもとで。これを世紀末において分析した学者がいた。江藤淳
である。江藤淳は日本文明たる官僚機構が全的滅亡をとげることを予言して絶望のなか自
殺した。フランス・ポストモダンの旗手たる哲学者たちが絶望のうえに孤独に自殺したの
もこの時期であった。陰謀史観ではないが二十一世紀初頭は、アングロサクソンによって、
なにかが仕掛けられているのだ。それは文明をめぐる問題である。ゆえにいま洞察しなく
てはならないのは、民衆の文化ではなく官僚機構の文明なのである。日本で律令制度とい
う最初の官僚制度をつくったのは藤原不比等であった。

 なにゆえに、藤原不比等らは「日本書紀」の編集に向かったのか? それは騎馬民族王
権内における、すざましい血と血の権力闘争、こうした残酷な情念をもつ内部を捨てたか
ったのかもしれない。王権内・宮廷で殺し合いを続けていけば騎馬民族の王権は、いずれ
他者によって滅ばされてしまう。そしてこの地はわが故郷ユーラシア大陸の草原ではない。
海に囲まれた島である。

 圧倒的な豊かな森林と四季、肥えた土地を開墾し、田畑をつくる労働を美徳とするおだ
やかな農耕民族の島となり、海や山から食物を見つける採集民族の縄文人は北へと追いや
った島。こうした島を永遠に支配するためには何が必要なのか? こうして藤原不比等ら
は支配対象としての民衆を発見し、騎馬民族の内部を捨て、おのれ変貌へと自己変革をめ
ざす。すざましい島への土着化である。もはやかえるべき故郷はない。それはアメリカ大
陸を占領したヨーロッパ民族と同様である。そこに日本とUSAの同期性がある。

 日本とは官僚機構たる中国文明・朝鮮文明からの亡命者たちによって建設された、アジ
ア最終の人間たちによる極東の島。ゆえにシルクロード最終の場所。中国・朝鮮から軍団
部族が移住し、百万人の縄文人をジェノサイドとして大量虐殺して奪った島。ゆえに日本
文化の基層は人殺し文化と呼ばれている。日本人とは殺しが好きな民族であり、殺しが動
物的本能の自己遺伝子と模倣子に起動している。戦争なき平和な時代とされていたいた戦
後五十五年間においても、新左翼諸党派においては政治空間の占有をめぐって、一九七〇
年から壮絶な戦争に投入し、それは三十年戦争となった。死者・自殺者はあまりにも多い。
天下を制覇する戦国時代が反復し、再起動していたのだ。アンダーグランドの場所におい
て。明治維新においても最終的に革命党派は長州のみとなった。薩摩は明治政権から追放
されていった。最後に残ったのが大久保利通であるがかれも暗殺されていく。制度が瓦解
したとき帝国市民たるわれわれの社会は溶解する。そのとき市民は殺し合いをやるのであ
る。これが二十一世紀初頭の現代世界に現出してきた日本市民どおうしによる人殺し文化
と呼ばれる。縄文人を虐殺した現代人の自己遺伝子と模倣子が、眠りから覚醒したにすぎ
ない。これを無感知の世紀という。




【第1回日本経済新聞小説大賞(2006年度)第1次予選落選】

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天皇がわかれば日本がわかる
国立歴史民俗博物館館蔵史料編集会
令集解〈1〉
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古代郡司制度の研究
松本 政春
奈良時代軍事制度の研究
大津 透
日唐律令制の財政構造
宮本 救
日本古代の家族と村落
奈良県平城遷都一三〇〇年記念二〇一〇年委員会, 樋口 隆康, 中西 進, 千田 稔, 町田 章
平城京―その歴史と文化
寺沢 龍
飛鳥古京・藤原京・平城京の謎
金子 裕之
平城京の精神生活
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古代都市平城京の世界
栄原 永遠男
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平城京と天平文化―奈良時代
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大谷 健
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